私は月夜に恋をする
それは思っていたよりずっと深刻で
私の胸も締め付けられるように痛んだ。
父に殴られるより、蹴られるより、タバコの火を押し付けられるより、
痛くて悲しくなった。

でもそれだけじゃなくて
秋が自分を信頼して話してくれる事が嬉しくて彼の口から吐き捨てられる冷たい言葉にさえも、あったかい気持ちを抱いだいた。

「じゃあ、秋。私達の前では、思う存分好きに振舞ふるまっていいんだよ」

「私"達"?」

秋が首を傾かしげるのと同時に、陽介先輩が木の上から飛び降りてきた。
なんて運動神経なんだろう。

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