私は月夜に恋をする
「ふふふ、くすぐったい」

学校一のイケメンなるものに膝枕をしているというこの状況。
謎すぎる。
なのに何故だか嫌じゃなくて、
彼に触れられるのは怖くなくて、
ついつい気を許してしまう。

きっと秋はそれを見透かしていて、私に甘く接するんだ。

「秋、もう私帰るよ。頭どけて」
「もう暗いし家まで送るよ」
「ありがとう」

私が頷くと、彼は膝から頭を上げて立ち上がった。
私と秋の家は反対方向なのに
毎度わざわざこうして送ってくれる。
最初はいいと言ったのだが
何度言っても聞かずに、結局口車にのせられて送られるので
無駄な抵抗は諦めた。
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