私は月夜に恋をする
「────────飛んじゃうかと思ったんだ。
君がフェンスから飛び降りる度、
校舎の下のアスファルトを見て名残惜しそうな顔をするから、"この子は本当は飛びたいんだろうな"って思った。
だから何があったのか、君から話してくれるようになるまで、そばにいようか、なんて」

その言葉は、不思議にすとん、と
自分の中に落ちてきて
ふんわりと馴染んだ。

そっか、私。私は......

「......死んじゃいたかったの。本当は。
辛くて、痛くて、悲しくて
そんな事しかなくって。でも怖くて出来なくて、いつも屋上に向かって飛び降りてた」
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