私は月夜に恋をする
抵抗も虚しく、秋は軽々と私の身体を抱き上げて自分の膝に降ろす。
唸る私を他所に彼は"命は軽いなぁ"なんて呑気に笑って
ドライヤーを付けて長く伸ばしたままの髪の毛を乾かし始めた。
直ぐ背中に、好きな人の体温がある。
意識してしまうと、中々意識を逸らせなくなって1人で参ってしまう。

「はい、終わったよ。綺麗な髪だね」

即座に立ち上がろうとすると、
後ろから腕が伸びてきて、しっかりと私を抱きしめた。
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