私は月夜に恋をする
また来るね、と病室を出ていった秋のご両親と入れ替わりに今度は陽介先輩が病室に駆け込んできた。
青年は無言で秋の手を取って握りしめると
"なにやってるんだよ"と小さく声を震わせる。

「お前、俺達を遺して逝っちまうのかよ
みーちゃんはどうなるんだ!
俺と命ちゃんの気持ちは無視かよ!」
「無視してる訳じゃないんだけどね
仕方ないじゃん、これが僕の寿命なんだ」
「だから、そんな事をどうして笑って言えるんだって聞いてんだろ!?
俺達の気持ちもちょっとは考えろよ......」
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