私は月夜に恋をする
学校につくと門を登って
旧校舎の鍵が壊れた抜け道から校内に入り込んで屋上へと向かう。
久しぶりのお気に入りの場所と、夜の校舎に勝手に忍び込んだ背徳感に
わくわくするが、
屋上にいたのは、1人だけだった。

「あれ、先輩は?」
「用ができたんだってさ」

慌てて新しい着信履歴を確認すると、
『2人でちゃんと話し合ってこい』
とメールが残されていた。
そういう事か。
秋には見えないように携帯の画面を閉じて、
陽介先輩の意図を察したであろう彼に向き合う。

「秋は、私の事嫌いになった?」
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