強くなりたい
「ひー、一之瀬さんと仲良しだね」
つまんないの。
下駄箱で、ボソッと僕が愚痴ると、「ハハッ」と、格好良い笑顔で、
「いぶとも仲良しだろ?妬いてんのか?」
と、響が僕の頬をプニっとつまむ。
妬いてるよ。
僕が見たい響の笑顔は、その“格好良い”顔じゃないもん。
“女の子”の……。
さっき、響が一之瀬さんに見せた、“女の子”の笑顔なのに…。
「分かった、今日の部活で一之瀬先輩に言っとくから」
「え?」
響……、何か誤解してる?
「私の可愛い幼なじみが、一之瀬先輩と仲良くなりたいらしいですよ、って」
はあ………
ちげえし。