強くなりたい
「ひー、早く教室行こっ!」
ぐいぐいと響の腕を引っ張る、男の僕より、響の方が力が強い。
ビクともしない。
「わーったわーった、焦んな いぶ」
焦ってるよ。
身長も 力も、男らしさでも響に負けて。
響は、僕を絶対 男として見ていないから。
身長を越えるのは、無理だとしても…
せめて、
響より力が強くなって、ぐいぐい引っ張っていく男らしい、───一之瀬さんみたいな男になって。
『好き』にする。
あー、強くなりたい。
てか、ならなきゃ。
END