ワタシはロボット 第1話


ワタシ…ダメだなぁ…。






人間サマの役に立てるなら壊れても電池が切れてもいい、とか思っておきながら、やっぱり壊れるのが怖いなんて。







ワタシなんて、ロボットなんだから…機械なんだから、代わりなんていっぱいいる。






そんなこと、わかってるのに…壊れたくないってどうしても思っちゃう自分がいる。






『死んだかと思ったからだろ!』






ワタシは、死ねない。





ロボットだから、壊れることしかできない。





死ぬことができるのは、人間だけ。






「死にませんよ。壊れるだけ」





そう…誰にも悲しまれることなく…ひっそりと…。







自嘲気味にそう言って笑うと、ご主人様(伊織様のお母様のこと)と伊織様は「は?」と声を合わせて訝しげ(いぶかしげ)な顔をした。






「…?」






小さく首をかしげると、2人はさらに訝しげな表情をする。






「…なんで今、そんな笑えんだよ…。なんで…お前より俺らの方が悲しんでんだよ…。お前には悲しむ脳も、権利もあるだろ!」






「え…?」







伊織様、なんで怒って…。







「そうよ」






ご主人様…?




< 10 / 15 >

この作品をシェア

pagetop