ワタシはロボット 第1話
「…——ット…おいこのクソボロット!」
え…。
クソまでつけなくても…。
はっ
ガバッと起き上がる。
「ここは…?」
いつものワタシの部屋じゃないことに気づいて、そう訊く。
ここは…ベッド?
…真っ白な部屋…。
「『ここは?』じゃねんだよ。心配かけやがって!」
なぜか怒られるワタシは、未だにこの状況の意味がわからない。
ドキッ
え…なんで…?
「泣いてた…?」
かすかに涙の跡がある。
それに気づいて、なんで泣いているのか考える。
それでもどうしてもわからなくて、伊織(いおり)様を見ると。
「…っせーな! 泣いてねーよ!」
初めて見る伊織様のこんな表情。
ドキッとしたのはなんでだろう。
伊織様の顔が少し赤いのはなんでだろう。
作られたばかりのロボットだからか、今日はいつも以上に人間サマについてわからないことが多い。
「伊織ね、この病院に運ばれるまでずっと泣いてたのよ。『なんで…っ、なんで…っ!』って」
やっぱり…泣いてたのか…。
…——ワタシのせい⁉︎
ワタシ、何かした⁉︎
あ…部屋が綺麗じゃなかったから⁉︎
それは違うか…。
伊織様はそんなことで泣くような人間じゃない。
「っるっせーな! ちげーよ! それは…その…死んだかと思ったからだろ!」
ご主人様(伊織の母)の言葉を思いっきり否定する伊織様。
…顔、さっきよりも赤い…。
…………可愛い…。
はっ!
じゃなくて!
伊織様のことをそんなふうに思ったら、失礼だっ!
心の中で、「ボロットの分際でっ!」と言って自分の頭を叩く。
頭の機能が壊れたのかと思われたら嫌だから、そんなことしないけど。
というか、