結婚前提で頼む~一途な御曹司の強引な求愛~
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「マジか、里乃子~!」
定例の同期飲み会の会場、私はここ数日の堂々たる成果を発表していた。
私と榛名先輩が交際を始めたという事実の報告会だ。
「なんでどうしてどうなったら、あんたと榛名さんが付き合うことになるの!?」
「ちょっと、頭の整理が追い付かない~」
花凛と雅美が頭を抱える中、かほひとりがうんうんと頷いている。
「考えてみたら、思い当たることはあったかもしれない」
え?どういうこと。私本人はびた一文ありませんけど、思い当たること。
「榛名さん、自ら里乃子の指導役を勝って出たって聞いたことある。うちの班の吉田さんが言ってた」
「え?そうなの?」
聞いたことないぞ、そんな話。私が落ちこぼれなのは営業部の多くの人が知ってることだとは思う。榛名先輩だって組む前に聞いていたに違いない。
それでも指導してくれているのは、上司命令だからでしょう?
「案外、最初から里乃子狙いで指導係になってくれたんじゃない?」
「いやいやいや、だったら、最初からもう少し優しく接するんじゃない?」
私のツッコミに、花凛が言う。
「そこは下心出しちゃ駄目でしょ。そういうちょっと堅そうなところが人気なんだから、榛名さんは」
まあ、そうよね。でも、最初から好きだった説はなさそうだな。今だって、半分くらいは母性の範囲な気がするし。