結婚前提で頼む~一途な御曹司の強引な求愛~
ランチタイム、私はかほと近くのカフェでサンドイッチを食べていた。

「へえ、これを先輩がね」

かほは大きなぬいぐるみを紙袋から出して笑顔だ。彼氏と一緒に集めてるって聞いてたから、あげようと思ったんだけど、喜んでくれて嬉しいな。

「榛名先輩すごいんだ。上手でね!」
「なんか順調に距離縮めてるし」

かほに言われ、どきりとする。距離は縮まってるとは思うけど……。
これって正しいこと?

「すごく優しいんだ。実はかなり信頼してくれてるのもわかったし」
「好きになっちゃいそう?」

うん!って答えたい。けど、答えられない自分がいる。まだ気持ちに自信がない。
一緒にいられて嬉しかったけど、キスできて幸せだって思っちゃったけど、まだ私でいいのかなって思ってしまう。先輩にはもっともっとふさわしい彼女がいるんじゃないかな。彼の優しさに触れ、心が動くたびに、浅はかな気持ちで交際をOKした自分が悔やまれる。
職場で優しくされたい、一生に一度の思い出になれば……そんな軽い気持ちで榛名先輩の真剣な愛情を踏みつけている気がする。

「いやあ、そのうち振られるでしょ……」

ぼそりと呟いた声は随分元気のないものになってしまった。
私、榛名先輩のこと、好きになりかけてるのかな。
誰かのことを好きになったことがないから、わかんないよ。

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