結婚前提で頼む~一途な御曹司の強引な求愛~
さらには、仕事の上でも私の独立は近い。もう、先輩と一緒にいる理由がオフィスでもなくなってしまう。
どうしよう、どうしたらいい?

この二週間、そんな自問自答を繰り返し続けている。泣き暮らすには自責の念が強すぎる。この事態を知った同期は責任を感じて、私を励まそうとしてくれているけれど、今は悪いのは私としか思えない。だから、先輩に事情を話すと息巻いていたかほには黙っていてもらった。

私が私の言葉で直接謝りたい。そして、少しでも私に気持ちが残っているなら、やり直すチャンスがほしい。
でも、どうしたらいいんだろう。

そんな悩みを抱えたまま、季節は夏に近づいてきていた。
帰路、外は雨がそぼふり、むしむしした気温だった。私は折り畳み傘を鞄から取り出した。駅を使おうか。このまま歩いて帰ろうか。濡れた傘を人混みで畳むのも、びしょびしょの駅の床もあんまり好きじゃない。

するとエントランスを出たところで、傘と傘の間に、駅とは反対側に歩いて行く榛名先輩を発見した。どこに行くんだろう。
私は後ろを歩き出す。つけているわけじゃない。私の家もこっちの方向だもの、と自分に言い聞かせて。
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