結婚前提で頼む～一途な御曹司の強引な求愛～
「傑さんと帰るのが楽しかった。ごはんに行くのが楽しかった。オフィスで見せない顔を見せてくれるのが嬉しかった。私を誰より信頼してくれているのが嬉しかった。気づいたらどんどん惹かれていて、私……」

涙がアスファルトに落ちる。格好悪い。だけど、ここですがらなきゃ、私は一生後悔する。

「もし、もう一度チャンスをいただけるなら、私とやり直してください！」

榛名先輩の表情が変わった。頬が朱に染まる。くしゃっと歪んだ表情は愛おしいほど感情に満ちていて、私は夢中でその瞳を見つめた。

「後悔するなよ」

榛名先輩が低く呟いた。
そのまま腕を掴まれ、引っ張られる。マンションのエントランスを抜け、エレベーターに押し込まれる。
私の腕を掴んだまま、先輩は無言だ。エレベーターを降り、黙々と歩く先輩の背中を私は愛しく見つめた。先輩の部屋番号は知っている。
ドアを開け、中に押し込まれた瞬間、抱き締められ唇を奪われた。

「んっ」

唇は重なるだけじゃなく、角度を変え、深く深く組み合わされた。私は腕を伸ばし、自らも求めるように唇を開けた。

「好きだ」

唇を離し、私をドアに押し付けながら先輩がささやいた。熱っぽい視線で私をとらえて。

「もう離してやれない」

私は頷き、溢れた涙もそのままに、背伸びして彼にキスをした。

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