結婚前提で頼む~一途な御曹司の強引な求愛~
結婚相手を別に?それって、普通の婚約者同士のすることじゃないよね。
「同い年ではとこという間柄だ。子どもの頃から結婚相手は咲花だと言われてきた。親の支配から抜け出たつもりでも、なかなか断ち切るのは難しい。結婚を急かされた」
親が決めた婚約者。昨夜の話も聞いたけど、やはり先輩の家はかなり由緒ある一族なんだ。結婚相手も自由に選べないなんて。
「でも、俺は咲花に好きな男がいることもなんとなく知ってた。そして、俺にも片想いの相手がいる。だから、本人に相談したんだ。俺たちの婚約を破棄できないかって」
そこで榛名先輩が私の顔をちらんと見る。
「言っておくが、片想いの相手は、おまえのことだぞ」
「うひゃ、恐縮です」
「すると、咲花は言った。『傑は恋を叶えて。その人と結婚の約束をし、私を振って』って。自分も好きな人に振り向いてもらえるように努力する。お互いの恋が別々に成就してしまえば、親も文句を言いづらくなるって」
榛名先輩は自嘲気味に笑いながら言う。
「だけど、咲花が自分の恋を叶える気がないのも俺は知ってた。咲花が好きなのは俺の兄なんだ。兄には別に婚約者がいる。咲花なりに俺の背を押してくれてることがありがたくて、彼女の思惑通りにしてやりたかった。なにより、この機会を逃せば里乃子に恋を伝える機会はないんじゃないかと思った」
「……だから、結婚前提」
「まあ、少し最初から飛ばし過ぎたとは思ったが。まあ、俺も下心が少々あったんだ。家から抜け出すっていう」
告白をし終えてようやくすっきりしたのか、先輩が微笑んだ。
「里乃子に受け入れてもらえて、死ぬほど嬉しかった。俺を怖がっていることもわかっていたし、この先好きになってもらえるかも自信がなかった。だけど、なにげない毎日を積み重ね、いつか里乃子の気持ちが動けばいいと思っていた。その時まで、里乃子が俺の恋人ごっこに付き合っていてくれればいいと」
「同い年ではとこという間柄だ。子どもの頃から結婚相手は咲花だと言われてきた。親の支配から抜け出たつもりでも、なかなか断ち切るのは難しい。結婚を急かされた」
親が決めた婚約者。昨夜の話も聞いたけど、やはり先輩の家はかなり由緒ある一族なんだ。結婚相手も自由に選べないなんて。
「でも、俺は咲花に好きな男がいることもなんとなく知ってた。そして、俺にも片想いの相手がいる。だから、本人に相談したんだ。俺たちの婚約を破棄できないかって」
そこで榛名先輩が私の顔をちらんと見る。
「言っておくが、片想いの相手は、おまえのことだぞ」
「うひゃ、恐縮です」
「すると、咲花は言った。『傑は恋を叶えて。その人と結婚の約束をし、私を振って』って。自分も好きな人に振り向いてもらえるように努力する。お互いの恋が別々に成就してしまえば、親も文句を言いづらくなるって」
榛名先輩は自嘲気味に笑いながら言う。
「だけど、咲花が自分の恋を叶える気がないのも俺は知ってた。咲花が好きなのは俺の兄なんだ。兄には別に婚約者がいる。咲花なりに俺の背を押してくれてることがありがたくて、彼女の思惑通りにしてやりたかった。なにより、この機会を逃せば里乃子に恋を伝える機会はないんじゃないかと思った」
「……だから、結婚前提」
「まあ、少し最初から飛ばし過ぎたとは思ったが。まあ、俺も下心が少々あったんだ。家から抜け出すっていう」
告白をし終えてようやくすっきりしたのか、先輩が微笑んだ。
「里乃子に受け入れてもらえて、死ぬほど嬉しかった。俺を怖がっていることもわかっていたし、この先好きになってもらえるかも自信がなかった。だけど、なにげない毎日を積み重ね、いつか里乃子の気持ちが動けばいいと思っていた。その時まで、里乃子が俺の恋人ごっこに付き合っていてくれればいいと」