それでも恋をやめない
第1章 小咲真意子の想い
これから始まるは、もうひとつの世界線上の物語である。
令和2年3月23日。
感染症が全く蔓延していない世界線上で、高校3年生の小咲真意子は、校舎の窓越しに桜の木を見上げながら、卒業式を間近に控えていた。
彼女は背中のまんなかまで伸ばした黒髪をひとつに結ばず、窓からの風にふわりとなびかせていた。
真意子には、入学式で一目惚れして以来好きでやまない片思いの相手が居る。
その男子学生の名前は満月礼二だ。
令和2年3月23日。
感染症が全く蔓延していない世界線上で、高校3年生の小咲真意子は、校舎の窓越しに桜の木を見上げながら、卒業式を間近に控えていた。
彼女は背中のまんなかまで伸ばした黒髪をひとつに結ばず、窓からの風にふわりとなびかせていた。
真意子には、入学式で一目惚れして以来好きでやまない片思いの相手が居る。
その男子学生の名前は満月礼二だ。
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