アンサンブル ~翔
翔が ケラケラ笑っていると 奈緒は
「それより翔。私、プロポーズされてみたい。」
と言って 翔を困らせた。
父に似て、甘い言葉が 苦手な翔は 奈緒に 告白もプロポーズも していない。
「土曜日、指輪買いに行くか。」
と言う翔。
奈緒は、クスッと笑って、
「また、物に頼って。」
と言う。
「俺が そういうの、苦手だって 知っているでしょう。奈緒、どこの指輪がいい?店で一番大きいダイヤ、買ってあげるから。」
翔が言うと
「いいわよ、小さいので。どうせ 普段ははめられないんだから。」
奈緒は笑って言う。
「そうだけど。俺の気持ちだからさ。」
翔が困った顔をすると、
「プロポーズすれば、安いので済むよ。」
と奈緒は笑う。