アンサンブル ~翔
「何だろうね。そうじゃない奴も いるみたいだけど。」
翔は苦笑して言う。
翔のように 深刻に考えないで、研修をこなしている 同期生もいたから。
「私も駄目。考え過ぎているって、自分で解っているんだけど。」
頷く奈緒に
「考える程、体が 動かなくなってさ。」
と翔は 自嘲気味に言う。
今まで 誰とも、こんな会話を したことはなかった。
「そうそう。診断できないの。他の可能性を考えて、不安になって。」
奈緒の言葉に、翔は大きく頷く。
「もっと、気楽に 考えた方が いいのかな。」
と言って 翔は カップ麺のスープを飲み干す。