アンサンブル ~翔

「何だろうね。そうじゃない奴も いるみたいだけど。」


翔は苦笑して言う。

翔のように 深刻に考えないで、研修をこなしている 同期生もいたから。
 


「私も駄目。考え過ぎているって、自分で解っているんだけど。」

頷く奈緒に
 


「考える程、体が 動かなくなってさ。」

と翔は 自嘲気味に言う。


今まで 誰とも、こんな会話を したことはなかった。
 

「そうそう。診断できないの。他の可能性を考えて、不安になって。」


奈緒の言葉に、翔は大きく頷く。
 


「もっと、気楽に 考えた方が いいのかな。」


と言って 翔は カップ麺のスープを飲み干す。
 

< 16 / 112 >

この作品をシェア

pagetop