アンサンブル ~翔
「お祖母様、尊厳死を希望していて。一切の延命措置を しないでほしいって 先生にお願いしていたんだ。」
翔の言葉は、みんなを とても驚かせた。
「えっ。」「うそ。」「まさか。」
みんなの声が重なる。
「翔。それ、いつ頃のこと?」
智くんが、静かに聞く。
「11月に入る前かな。お祖母様 書類があれば 署名できるうちに って言って。」
翔が言うと、
「そんなに 早くから 覚悟をしていたのか。」
と父は声を詰まらせる。