アンサンブル ~翔
「どういうこと?」
不思議そうな顔で、奈緒は聞く。
「感性が 同じだから。だから自然と 心を許していたんだと思う。」
翔が言うと、奈緒は クスクス笑って、
「これだから 外科医は嫌なの。なんでも すぐ分析して。」
と言う。翔もつられて笑ってしまう。
「素直に 好きです、って言って下さい。」
と奈緒は言う。
「えー。俺 そういうの苦手なんだ。ね わかるでしょう 奈緒。勘弁して。」
と翔は困った顔で 奈緒を見つめる。そして、
「あっ。そうだ。」
と言って立ち上がると、
「これ。ここの鍵。いつでも 好きな時に 来ていいからね。俺がいない時でも ここで休んでね。」
翔は 合鍵を差し出す。
奈緒は 驚いた顔で 翔を見つめる。