青春ヒロイズム


村田さんの話ばかり聞かせて彼女との仲の良さを見せつけてきたと思ったら、突然優しく笑いかけて私の気持ちを昂揚させたり。そうかと思ったら、また衝撃的な言葉を突きつけてきたり。

星野くんといたら、気持ちの上げ下げが激しくて落ち着かない。


「ごめん。嫌なやつで……」

最近の星野くんは、私を無視したり冷たい目で見たりしない。

他のクラスメートと同じような態度で接してくれるけど、根本的には嫌われてるんだ。

過去の自分の態度も発言も取り消せない。

小学校を卒業してから随分経つというのに、星野くんがそのことで未だに私に対して嫌悪感を持ったままでいるというのなら、もう謝る以外にどうしようもない。

だけど、今謝ったところで星野くんの気持ちは治るのかな。

再会したばかりの頃の星野くんの冷たい目を思い出したら、昔の自分への後悔で泣きたくなった。


「ほんとにごめんね」

嫌われているのに、無神経にいつまでも星野くんの隣に座っている自分が嫌になってきて立ち上がる。

先に戻ろうと一歩踏み出したとき、星野くんに手首をつかまれた。


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