青春ヒロイズム
「あー、違う。そういうのが聞きたかったわけじゃない」
振り向くと、私を見上げる星野くんと目が合った。
全く取り繕えないまま、落ち込んだ気持ちでつい振り向いてしまった私は、ものすごく情けない顔をしていたと思う。
私の顔を見た星野くんが、困ったようにうつむいて首筋を掻いた。
「謝らせたかったんじゃなくて。智ちゃんからその話聞いたとき、深谷っていいやつだなと思ってちょっと見直したんだよ」
「え?」
星野くんの話し方が、急に少し乱暴になる。
ふと見ると、俯いた星野くんの顔が気のせいか赤いような気がした。
星野くんが伝えたかったことが今の話だとしたら。
もしかして私は、星野くんにそこまで嫌われてないのかな。
単純だけど、星野くんの言葉に落ち込んでいた気持ちが一気に吹き飛んだ。
「こないだの体育祭のときだってそうだし。今日も俺らのテスト勉強手伝ってくれたり。深谷って、結構いいやつじゃん」
照れ臭そうに続ける星野くんの言葉に、少しずつ私の気分が上がる。