青春ヒロイズム


「どうしよう?」

「俺は別に頑張って広い場所取らなくても、空いてる隙間にちょっと座れればいいけど?」

困ったように首を傾げる村田さんに、槙野くんが答える。


「俺もそれでいいよ」

「竜馬たちとはあとで連絡取り合えばいいし、俺らも屋台見る?」

「そうしよ。腹減った」

星野くんと槙野くんがそう言って屋台のほうに歩き出したから、私と村田さんもそれに従うことにした。


「何食う?」

「焼きそば?」

「唐揚げもうまそう」

四人で相談しながら、屋台の前をうろうろと歩き回る。

どれも美味しそうだけど、食べたいなーと思うものはみんな同じみたいで。

私たちが食べたいものの屋台のほとんどが長蛇の列だった。


「とりあえず、ここだと焼きそばとお好み焼き両方買えそうだから並んでみる?」

悩んだ末に、村田さんがひとつの屋台の最後尾に並ぶ。

最初は村田さんと一緒にみんなでその列に並んでいたのだけど、周りを見ていたらだんだんとそうしている時間が無駄に思えてきた。


「ねぇ、私、あっちの唐揚げとポテトの列に並んで買って来るよ」

「え、いいの?友ちゃん」

「うん、そのほうが効率いいし。買えたら連絡する」

瞬きする村田さんに笑いかけると、私はひとりで列を抜け出した。

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