青春ヒロイズム


「クラス名簿で、『友』っていう一文字の名前にすごく見覚えがあると思ったんだー」

『トンカちゃん』と同じクラスだったのは、私の記憶では幼稚園のときと小学校の三、四年生のとき。

普通に話すけど、そこまですごく仲が良かったわけでもなかった。

それなのに、昔の『トンカちゃん』の印象がほとんどない村田さんは、まるで古くからの旧友みたいにペラペラと話しかけてくる。


「友ちゃんが同じ高校だったなんて知らなかったよ。中学は地元じゃなかったよね?」

「中学は受験したから」

「そうだったんだ。それで、高校でここ受けてたの?」

「そうじゃなくて、ニ年からの編入」

素っ気ない態度をとる私に、村田さんはずっとにこにこと笑いかけてくる。

編入だって言ったら、何か事情があるのかと勘繰られるかと思ったけど、村田さんの表情は変わらない。

そういえば『トンカちゃん』は、誰に何を言われてもいつもにこにこと笑っている、そういう女の子だった。

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