青春ヒロイズム
それまで優秀だった彼女が伸び悩んでしまったのもあるし、私含めて塾で成績中位だった子たちの実力が受験に向けて伸びてきたのだ。
ナルはそのことを気にしていたみたいで、私と仲良くしながらもときどき前までだったらありえない軽い嫌味を言ってくるようになった。
それでも、ナルが大事な時期に成績が伸びなくて苛立ってたのは知っていたから、特に気にしてはいなかった。
だけど、少しずつ険悪な態度を取るようになったナルと私が完全に決別してしまったのは、六年生の二学期末の塾のテストが原因だ。
なぜそんなまぐれが起きたのかわからないけれど、受験直前の塾のテストでの私の成績順位がナルのそれを大幅に追い越した。
私的には確かに手応えがあったけど、そこまで一気に飛躍するとは思わなくて、塾の先生も両親も私自身もびっくりだった。たぶん、ナルも。
そこから、ナルはなんとなく私に冷たくなって。
二学期が終わり冬休みが明けた頃には、まるで私とは元々無関係だったみたいに話しかけてこなくなった。
最初はちょっとびっくりしたし、寂しかったけど、私の友達はナルだけじゃない。
それに、卒業式したらきっと学校は別々になる。
そう思っていたから、ナルの変化をあまり気にしないようにして過ごすことにした。