青春ヒロイズム
卒業の一ヶ月くらい前に、受験の結果発表が行われて私は無事に第一志望の学校に合格した。
模試の判定では毎回合格できるかどうかのギリギリのラインだったから嬉しかった。
受験までは塾や勉強で忙しかったけど、卒業まではちょっとのんびりできる。
開放的な気持ちでお母さんと一緒にお世話になった塾の先生に報告に行ったとき、たまたまナルもお母さんと一緒に塾に来ていて。
私はナルが第一志望の学校に落ちたことを知ってしまった。
彼女が第一志望の併願校として受けていたひとつが、私の第一志望の学校だったらしい。
聞くつもりはなかったけど、結局そこしか受からなかったというナルのお母さんの声と、第一志望に合格させられなかったことへの塾の先生の謝罪が聞こえてきた。
彼女たちとは少し離れたところでお世話になった先生にお母さんとともにお礼を言って帰ろうとしたとき、ナルに恨めしげに睨まれた。
そのままナルとはほとんど話さないままに小学校を卒業して、同じ私立中学に入学した。
それからもしばらくはお互い話もしなくて、ひさしぶりに言葉を交わしたのは高校生になってからかもしれない。