青春ヒロイズム


スマホを持ったままだと、無駄に余計な期待をしてしまう。

そわそわする気持ちを抑えるために、一旦スマホを横に置いてテレビを点ける。

適当にバラエティ番組にチャンネルを合わせたとき、そばでスマホが震えた。

星野くんからのメッセージだと思い込んですぐさまスマホをつかむ。

けれど、届いていたのは全く予想もしていなかった相手からのメッセージだった。

スマホをつかむ自分の指先が、少しずつ冷たくなっていくような気がする。

『今日の夕方、地元の駅前で星野くんに会ったよ。花火大会のときは暗くてはっきりわからなかったけど、小学校のときよりかっこよくなってるじゃん』

そんなメッセージを送ってきたのはナルだった。

前の学校を辞めてから…というか、そのずっと前から、ナルとこんなふうにメッセージをやり取りすることはなくなっていた。

それが、昨日の花火大会であんな再会をしたかと思ったら、次はこんなメッセージを送ってくるなんて。

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