青春ヒロイズム
早口で喋りながらベッドから立ち上がろうとすると、まだ不機嫌そうな表情を崩さない星野くんに、冷静にベッドに押し戻された。
「戻らせねーよ。また倒れたらどうすんの?」
「倒れないよ。さっきは星野くんのことを突き落としたんじゃないのかと思って焦っただけで。『あのとき』とは違うんだって思ったら、一気に気が抜けただけだから」
「あのときって?」
焦って早口でいろいろ話してしまったところで、星野くんに冷静な声で返されてハッとする。
「それは…星野くんには関係ない」
「ふーん」
突き放すようにそう言って口を閉ざすと、星野くんがそれまでよりもさらに不機嫌そうに眉間を寄せた。
「だって、星野くんは小学校のときから私のこと嫌いでしょ」
それなのに、私の気持ちも知らないで気まぐれに優しくされたって困る。
言葉で突き放して、怒ったような顔をされる理由だってわからない。