青春ヒロイズム
唇を引き結んで、星野くんを睨む。
そんな私をしばらく睨み返すようにしていた星野くんだったけど、無言の睨み合いから先に離脱したのは星野くんのほうだった。
「確かに、昔は『いい印象ない』って思ってた。だけど、深谷は正義感が強いだけで、本当は嫌なやつじゃないってことも知ってたよ」
僅かに目を見開いた私をまだ軽く睨んでいる星野くんが、なんだか悔しげに表情を歪める。
「ひさしぶりに目の前に現れたかと思ったら、昔と全然印象変わってるし。俺にはときどきムカつくこと言う割に、張り合いになんないくらい学校の中じゃおとなしいし。そんなの、ほっとけないだろ」
「え?」
星野くんの言葉に、今度は大きく目を見開く。
茫然としながら星野くんの顔を見つめていたら、彼が少し顔を赤くして気まずげに私から顔を逸らした。
「そんな、アホみたいな顔してじっと見るなよ」
「だって……私、ずっと嫌われてると思ってたのに、星野くんがなんかよくわかんないこと言うから……」