青春ヒロイズム
森ちゃんの休部が認められたことを報告しようと思って彼女のクラスに行ったら、そこに彼女はいなかった。
たまたま近くにいた森ちゃんのクラスメートに聞いたら、その子が「たぶん、保健室じゃないかな?」とちょっと気まずそうに小声で教えてくれた。
その子は私に森ちゃんのことを話すときに、ずっとどこかを気にするようにチラチラと見ていた。
さりげなくその視線の先を追うと、そこには友達数人と、笑いながら大きな声で話すナルがいた。
森ちゃん、ナルと同じクラスだったんだ……
小学校を卒業して以来、ナルとは全く話していない。
中等部では一度も同じクラスにならなかったし、たまに廊下ですれ違っても、ナルのほうがあからさまに私を避けていた。
本当はもっと偏差値が高い学校を目指していただけあって、ナルの成績は定期テストの度に毎回トップから十位以内。
掲示板に張り出される成績表で彼女の名前を見るたびに、相変わらずだなぁと思っていたけれど。
目立つ女の子たちとグループを作って教室の中心で騒ぐ姿も、彼女の小学校のときの印象に近くて、相変わらずだなぁと思った。