青春ヒロイズム
「ねぇ、小学校のときの友達の誰かと今も連絡とってる?」
警戒して微妙な表情の私に、ナルがにこりと笑いかけてくる。
その笑顔が、まだ仲が良かった小学校のときの彼女のそれと重なった。
「友、ユリのこと覚えてる?私ね、この前偶然、駅前でユリに会ったんだ」
これまでお互いに目も合わせていなかったことが嘘みたいに、ナルが親しげに話を続ける。
そんな彼女が口にしたのは、私も小学校六年生のときに仲が良かった同級生の名前だった。
「うん、覚えてるよ」
戸惑い気味に頷く私に対して、ナルは笑顔を崩さない。
「よかった。ユリと話してたら、小学校のときのことが懐かしくなっちゃって。六年のときに仲良かったメンバーで集まりたいね、って話になったの」
「そうなんだ。楽しそうだね……」
イマイチ、ナルに対する違和感と警戒心を解けないでいると、彼女が制服のポケットからスマホを取り出した。