青春ヒロイズム
「友のID教えてよ。みんなで集まる計画たてるのに、連絡取りたい」
私にスマホを見せながら、ナルが昔のように私に笑いかけてくる。
どういうこと?ナルは私と長いこと目も合わせていないことを忘れたの?
元々先に無視し始めたのはナルだったから、急な彼女の言動の変化に戸惑いを隠せない。
「あぁ。しばらく話してなかったのに、急に馴れ馴れしくされても困るよね。だけど、仲直りはしたいなーってずっと思ってたんだ」
ナルがそう言って、気まずそうに笑う。
この三年分の不審感が完全に拭えたわけではなかったけれど、その笑顔と言葉に私の警戒が少しずつ解けていった。
元々は小さなきっかけから拗れただけなのだから、もし昔みたいに話せるようになるなら、それはそれで悪くない。
そう思った私は、スマホを出すとナルとメッセージアプリのIDを交換した。
「じゃあ、また連絡するね」
ナルがそう言って友達グループの輪に戻ろうとしたとき、予鈴が鳴った。