青春ヒロイズム


ナルの困ったような返答に少しガッカリしていると、彼女が私の肩を軽く叩いた。


「もし困ったことがあるなら相談のるよ、って。そう森さんに伝えてね」

暗い表情を浮かべた私に向かって、ナルが平然と笑いかけてくる。

そんなナルの励ましと笑顔を好意的に受け止めた私は、そのとき何もわかっていなかった。


ナルとひさしぶりに会話をして、励ましの言葉までもらって。ちょっと明るい気持ちになっていた私は、次の休み時間に保健室の森ちゃんのところへ行った。

ベッドで寝ていた森ちゃんは、私の顔を見るとほんの少しだけ目尻を垂らして笑ってくれた。

そんな彼女に、部活はしばらく休部扱いにしてもらえることになったことを伝えたら、ものすごく消極的な言葉が返ってきた。


「退部でも良かったのに……」

「でも、森ちゃん、バレー好きでしょ?」

森ちゃんがバレーが好きで、中学時代から部活を頑張ってきたのを私は知っている。

当然そうだと思って訊ねたら、今度は彼女が困ったような笑顔を見せた。


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