青春ヒロイズム
私、間違ったことをした?
私はどちらかというと昔から、気の強い子どもで。自分が正しいと思ったことは曲げずに押し切ってしまうところがあった。
小学生のときも、中学生のときも、自分が正しいと思ったらなかなかその考えを曲げられなくて。小学生のときは特に、よく男の子と衝突していた自覚がある。
中学生になってからは、自分の正義を押し付けるだけでは人間関係が成り立っていかないこともあると気付いて、相手の立場も考えて折り合いをつけることを覚えたけれど。
それでも、ときどき自分の想いだけで突っ走る。
だから森ちゃんのことも、彼女のいない場で、彼女の意見も聞かずに周りが退部を決めるのはおかしいと思ったけど。
森ちゃんの困った笑顔を見たら、途端に自信がなくなった。
「とにかく、答えは急がずにゆっくり考えたらいいと思う。退部はいつでもできるでしょ?」
「そうだね」
どこか遠くを見つめながら、森ちゃんが儚く笑うから、ますます自信がなくなってくる。
だから、なのか。それとも、自分のやったことを少しでも正当化したかったのか。
あのときの私はたぶん、森ちゃんの気持ちを少しでも元気付けたくて、彼女に少しでも認めてもらいたくて焦ってた。