青春ヒロイズム
「今西、また勝手に人のこと……この写真、うまいこと切り取られてるけど、反対のテーブルに憲と竜馬もいたよ」
星野くんが私のスマホの写真を見つめながら、低い声でつぶやく。
「え?」
「深谷が言うとおり、駅前で友達と遊びに来てた今西には会ったよ。急にあいつのほうから挨拶してきて、なんか変だなーと思った」
「そうなの?私はてっきり、星野くんがナルとふたりで会って、私たちのことをいろいろ聞いたんだと思ってて。だから、星野くんはそのことを私に確かめたいのかと……」
「あー、そっか」
星野くんがため息混じりにつぶやく。
「なんか今、いろいろ繋がった。深谷はそのことで俺にいろいろ追及されると思って。だから全然メッセージの返信してこなかったんだ?」
「え、だって。星野くんが私に話したかったのってそのことでしょ?」
「そのせいで俺は貴重な夏休みを無駄にしたんだって思うと、なんかすげームカついてきた」
訊ねながら首を傾げたら、星野くんが苛立ったようにクシャリと髪を掻いた。