青春ヒロイズム
「だから、今度はちゃんと伝えさせてもらってもいいかな?私、星野くんのことが――……」
「それ、言うの遅い」
勢いのままに吐き出そうと思った気持ちが、少し怒ったような星野くんの声に遮られる。
そんなこと言われても迷惑だ、って。そういうことなのかな。
切ない痛みが胸の奥から迫り上がってきて、泣きたい気持ちになる。
「ごめん、でも私やっぱりちゃんと……」
それでもどうしても気持ちだけは伝えたくて口を開いたら、星野くんが私の手をつかんでストップをかけた。
「あのさー。先に、俺が夏休みに深谷に話したかったこと、伝えていい?」
なぜか顔を赤くした星野くんが、ちょっと怒ってるみたいに表情を固くして私をジッと見てきた。
「俺、深谷のこと、好き」
聞こえてきたのは、想像もしていなかった言葉で。私の思考が一瞬止まる。
「深谷の怪我が治ったら、直接会って話そうと思ってた」
星野くんがさらにそんなふうに言葉を続けるから、思考回路が混乱して、なんだかよくわからなくなった。