青春ヒロイズム
「そうそう。顔は割と可愛いのに、気が強くて正義感がめっちゃ強いやつだっただろ?けど、久々に見たらなんか目立たないおとなしい女になってんの。二年から編入って、ワケありな感じだよな。問題起こして前の学校退学になってたりして」
石塚くんらしき声がそう言って笑う。
「あぁ、それは俺も思った」
石塚くんの笑い声とともに聞こえてきたその声に、思わずドキリとした。
「あれ、カナキは深谷のこと覚えてないって言ってなかった?」
「覚えてねーわけないじゃん」
星野くん、本当は私のこと覚えてたんだ。
そう言った声が星野くんのものだとわかると、ほんの少しの期待とともに、無意識に彼の声を聞こうとより耳を澄ましてしまう。
だけど、そうして聞こえきたのは私にとっては残酷な事実だった。
「智ちゃんに聞かれて、わざとわかんないって答えた。なんかあいつ、俺の中でいい印象ないんだよなー」
「えー、何でだよ」
星野くん、わざと私のこと知らないフリしたんだ……
偶然知ってしまった真実に、ショックを隠せない。