青春ヒロイズム
一方で結果として被害者になった彼女は、私やあの子が学校からいなくなって笑っているんだろう。
そして、新しく別の子を暇つぶしのターゲットにしているのかもしれない。
考えていると得体の知れないモヤモヤした感情で胸が苦しくてなりそうで、彼女たちの顔を頭の中から追い出そうとした。
それでもなかなか消えていかない残像と目を閉じて必死に闘っていると、トンっと靴の側面に何かがぶつかった。
その小さな衝撃で、どんなに闘ってもなかなか消えなかった彼女たちの残像が一気に吹き飛んでいく。
目を開けると、サッカーボールが私の斜め前にころころと転がっていくのが見えた。
立ち止まってぼんやりと目で追っていると、校庭の方から誰かが駆けてくる音がする。
「すみません!大丈夫ですか?」
声がして顔を上げると、ジャージ姿の男子生徒が私を見ていた。
あぁ、さっき当たったのって。
体育の授業で使っていたサッカーボールがここまで飛んできたらしい。
鈍い思考を巡らせながら、速足で転がっていくサッカーボールを追いかけて拾い上げる。