青春ヒロイズム
「ねぇ、明日からは私たちのチームは放課後練習やめない?この調子じゃいくら練習したって無駄だし。もう、ぶっつけ本番でいいでしょ」
「うん、私もそう思う」
腰に手を当てて村田さんを見下ろすように立つ野宮さんの提案に、持田さんがうなずく。
うつむいたままの村田さんは何も言わない。
だからか、野宮さんと持田さんが同時に私に視線を向けた。
「深谷さんはどう思う?」
意見を聞いているくせに、私に向けられた彼女たちの眼光の強さは、反対意見など許してくれなさそうだ。
「私は別にどっちでも……」
「じゃぁ、決まり。多数決で、明日からは練習なしってことで」
ぼそりと答えると、野宮さんが大きな声で決定を下した。
「そういうことだから、私たちは帰るね。行こう、もっちー」
そう言って、野宮さんたちは教室にカバンを取りに行く。
教室には、放課後にも関わらずクラスメートたちがまだたくさん残っている。
机は四隅に避けて固められていて、真ん中に広くとられたスペースには大きな白い布が広げてあった。