青春ヒロイズム
先輩たちに絡まれたのは怖かったけど、村田さんのことが気になって飲み物を買いに行かなければ、たぶんこんなふうに星野くんとは話せなかった。
もう絶対に近付くことなんてないと思っていた星野くんとの距離。
それを少しだけ縮めてくれたのは、潰れて汚れたイチゴミルク。
小学生の頃の幼い初恋は、記憶の底に封印しようと決めたのに。
イチゴミルクが繋いでくれた奇跡が、私の淡い恋心を再び呼び覚ました。
星野くんが私に声をかけてくれるのは、今日限りかもしれない。
明日になったら、また冷たい眼差しを向けられるのかもしれない。
それでも、星野くんが一時だけでも見せてくれた笑顔と優しさは私のなかから一生消えないと思う。
昔の初恋の続きとは違う。
違うけど。
今の私の心も、星野くんに揺れていた。