青春ヒロイズム
5.非日常の気まぐれ


体育祭の行われた日は、嫌になるくらい天気が良くて、気温の高い真夏日となった。

日焼け止めをたっぷり塗ったけど、それに負けないくらいの強い日差しがジリジリと肌が焼いていく。

じっとしていても体力が奪われそうなくらいに暑いのに、クラスメートのほぼ全員が椅子から立ち上がって、競技に出ている仲間に声援を送っていた。

クラスにもあまり馴染んでないうえに、そもそも体育祭への参加意欲が低かった私は、盛り上がるクラスメートたちのノリについていけない。

開会式に出たあとはしばらく出番がなかったから、頭にフェイスタオルを被って日差しを凌ぎながら、応援席の隅でおとなしくしていた。

私が出場予定の二人三脚は、午前部の終わりのほうだ。

野宮さんに「本番までの練習はやめよう」と言われてから、私たちは体育祭まで一度も、放課後の練習をしなかった。

村田さんはそのことを気にしていたけれど、野宮さんと持田さんに話を聞いてもらえないままに体育祭当日を迎えることになってしまった。

クラスの優勝か最低でも準優勝を狙っている体育祭実行委員には申し訳ないけれど、うちのクラスの二人三脚の順位は最下位か下から数えたほうが早い順位になるだろう。


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