青春ヒロイズム


準備期間中から全体的に憂鬱な体育祭だったけど、二人三脚の出番が何より一番気が重い。


「友ちゃん、そろそろ並びに行ったほうがいいかも」

応援席にぼんやり座っていると、村田さんにトントンと肩を叩かれた。

いつの間にか午前の部も終盤に差し掛かっているらしい。


「野宮さんたちはもう行っちゃったみたい。私たちも行こう」

村田さんがそう言って応援席をきょろきょろ見回していたけれど、日頃の態度を考えたら野宮さんたちが私たちを誘って行くはずもない。

村田さんと一緒に集合場所の入場門に行ったら、野宮さんと持田さんは既に出場種目の列に並んでお喋りしていた。

一応、村田さんと野宮さん、私と持田さんがペアなのでお互いにペアの人の隣に並ぶ。

野宮さんと持田さんはお喋りを続けながら私たちの存在をチラッと確認しただけだった。

ときどき話しかけてくる村田さんに短い返事をしながら待つうちに、競技の順番がやってくる。

二人三脚は各学年をクラスごとに6チームに分けていて、所属していたチームの順位に応じてクラスに得点が入る。



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