青春ヒロイズム
突然のできごとに、後ろを見ながら走り出す準備をしていた私と持田さんはふたりして絶句する。
私たちの横で四位と五位のペアがバトンを繋いで走り出すなか、転んでしまったチームメイトを呆然と見ていると、野宮さんが怒りをあらわにしながら体を起こした。
「ちょっと!私まで巻き添えにしないでよね!」
擦りむいた膝を気にしながら、野宮さんが眉を釣り上げて怒る。
「ごめん……」
「だから嫌だったのよ、あんたとペアなんて!」
遅れて体を起こした村田さんがうつむく。
転んでしまったのは村田さんだけど、それはちゃんと練習をしなかったり、息を合わせてスタートしなかったりした野宮さんにも原因があるのに……
一方的に村田さんを責める野宮さんに、納得がいかなかった。
野宮さんに強い口調で責められ続け、うつむいている村田さんがだんだん泣きそうになっていくのがわかる。