青春ヒロイズム


「日誌出すついでにジュースでも買って来るよ。何がいい?」

日誌を持って行こうとすると、村田さんがパッと立ち上がった。


「それなら、私も一緒に行くよ」

「大丈夫だよ。村田さん、まだ問題解いてる途中だよね?」

「そうだった……」

私が机の上のノートを見ると、村田さんがちょっと気まずそうに視線を逸らす。


「日誌出すついでだから。みんなは勉強続けてて。飲み物のリクエストだけ聞いていいかな?」

「じゃぁ、俺はカフェオレ」

「俺、コーヒー。砂糖なしで」

申し訳なさそうに席に座る村田さんと違って、石塚くんと槙野くんは遠慮なく私にリクエストを出してくる。

苦笑いでみんなのリクエストを頭の中で復唱してから、今度こそ日誌を持って教室を出た。

職員室で担任に日誌を渡すと、食堂のそばの自動販売機に向かう。

テスト前で部活も休みだから、食堂の周りもその横の中庭も人気がなく静かだった。


< 97 / 214 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop