青春ヒロイズム
「日誌出すついでにジュースでも買って来るよ。何がいい?」
日誌を持って行こうとすると、村田さんがパッと立ち上がった。
「それなら、私も一緒に行くよ」
「大丈夫だよ。村田さん、まだ問題解いてる途中だよね?」
「そうだった……」
私が机の上のノートを見ると、村田さんがちょっと気まずそうに視線を逸らす。
「日誌出すついでだから。みんなは勉強続けてて。飲み物のリクエストだけ聞いていいかな?」
「じゃぁ、俺はカフェオレ」
「俺、コーヒー。砂糖なしで」
申し訳なさそうに席に座る村田さんと違って、石塚くんと槙野くんは遠慮なく私にリクエストを出してくる。
苦笑いでみんなのリクエストを頭の中で復唱してから、今度こそ日誌を持って教室を出た。
職員室で担任に日誌を渡すと、食堂のそばの自動販売機に向かう。
テスト前で部活も休みだから、食堂の周りもその横の中庭も人気がなく静かだった。