青春ヒロイズム


ジュースの自動販売機にお金を入れて、受け付けてきたみんなのリクエストを思い出す。

村田さんがイチゴミルクで、岸本さんがミルクティー。それから……

石塚くんと槙野くんのリクエストを思い起こしながら自動販売機の前でウロウロと指を彷徨わせていると、突然後ろから伸びてきた手がカフェオレのボタンを押した。

ジュースがガチャンと落ちてくる音と同時に振り向くと、そこに星野くんがいて息が止まりそうになった。


「竜馬がカフェオレで、憲が無糖コーヒー」

星野くんがそう言って、コーヒーのボタンを押す。


「あ、そ、そうか。星野くんは?」

顔のすぐ横に伸ばされた星野くんの腕と、目の前に立つ彼との近い距離に心臓がどうかなりそうなほどドキドキした。

なんとか絞り出すように声を出すと、星野くんが私を見下ろして小さく首を傾げた。


「俺もカフェオレ。深谷は?」

「じゃぁ、レモンティーにしとこうかな」

「かな、って何?ん、レモンティー」

星野くんは取り出し口に落ちてきた全員分のジュースを出すと、私の分だけを先に渡す。

そうして全員分のジュースを抱えて自動販売機の近くにあるベンチに座ると、自分のカフェオレにストローを挿して飲み始めた。

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