0センチの境界線
「ねえ、それって本名?」
高校1年生の春。
やたら小さいクラスメイトは、俺の名前を見た瞬間に、おっきな瞳を輝かせてそう言った。
────山之上雛。コイツは多分、俺が今まで出会ってきた女子の中で、1番失礼なやつだった。
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「………飛鳥だ、おはよー」
部屋から共有スペースに出てきた雛は眠たそうに欠伸をして、目をこすって、それからなんの迷いもなく先に座ってた俺の隣に腰掛けた。
今日の朝ご飯はなにかな、とか。
ブツブツ言いながら、適当に流してあるテレビをぼーっと見てる。
………昨日はあんなに嫌だの出てけだの言ってたくせに、一晩寝たら俺のことを受け入れるわけ?
なんかすっげームカつく。