0センチの境界線



「ねえ、それって本名?」



高校1年生の春。

やたら小さいクラスメイトは、俺の名前を見た瞬間に、おっきな瞳を輝かせてそう言った。

────山之上雛。コイツは多分、俺が今まで出会ってきた女子の中で、1番失礼なやつだった。




■□■


「………飛鳥だ、おはよー」



部屋から共有スペースに出てきた雛は眠たそうに欠伸をして、目をこすって、それからなんの迷いもなく先に座ってた俺の隣に腰掛けた。

今日の朝ご飯はなにかな、とか。

ブツブツ言いながら、適当に流してあるテレビをぼーっと見てる。


………昨日はあんなに嫌だの出てけだの言ってたくせに、一晩寝たら俺のことを受け入れるわけ?

なんかすっげームカつく。




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