0センチの境界線


「で、なに?聞くけど、」

「ああ。…………あのさ、」



頭の中は、この間の雛の顔。

ほっとしたーってふにゃって笑った顔。

心の底から、俺のことを信用してるっていう顔。





「──────ベットに押し倒したり、耳噛んだりしても、なお無防備に近づいてくるヤツってなんなの?」



信用なんか、されたくない。
されたくないから、意地悪した。

いい加減、男ってわかって欲しかった。
なんでもする、なんて。言う気が失せるくらい。

そんくらい、俺を警戒して欲しかった。


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