0センチの境界線


「朝からブッサイクだな」



少しだけ俺の方見てほしくて。いや、そうじゃなくて。少しだけ、嫌味言いたくなっただけで。

雛に向かってわざと聞こえるようにそう言ってみる。



「朝から美人な人がいるなら、わたしの前に連れてきてみろ!!」



ピーチクパーチク。ちっこい怪獣は、俺の言葉に反応して、プリプリって効果音がつく感じで怒り始める。

もうテレビのことなんて頭にない。俺のことで頭いっぱい。


後先考えなくて、失礼で、適当。
だから、雛と話すのは面白い。



「……………飛鳥、ごめん。朝から美人な人いたわ」

「は?」



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