0センチの境界線


「早くない!?わたし1個も食べてないよ、」

「ごめん。俺2個食べた」

「ひ、ひど………なんでもない」



ひどい!?って思わず前田くんを睨みそうになったけど。

わたしより頭使ってるもんな。糖分いるよなって。

勝手に負けた気になってやめておく。


………アイス。欲しかった。

しゃりしゃり出来ると思って、部屋からわざわざ出てきたのに。






「ねえ、じゃあ、買いに行こうよ」

「えっ、」



項垂れるわたしを見兼ねた前田くんが、申し訳なさそうにそう言う。

奢るからさ、って付け足されて。

もう断る理由もなんにも無くなった。



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