0センチの境界線
「……………でも、持つ」
「あ、」
前田くんが持ってたビニール袋の取っ手を半分奪う。
コンビニの名前が書かれた袋がカシャカシャって音を立てた。
「平和だね、暑い以外は」
「俺も暑いの嫌い」
「一緒だ。あ、そういえば、前田くんって暇?」
「暇って?」
「勉強、暇かなあって」
アイスで頭がいっぱいで、勉強のことをすっかり忘れていた。
わたしは家に帰ったらアイスを食べて勉強しなきゃいけないんだった。
でも、秀才前田くんがいれば。
どんな問題もバッチリで、わたしのテスト勉強は捗りすぎるほど捗るだろう。